第一回

「けい友館ルールをつくったとき」

 けい友館という塾が誕生したとき、生徒に向けてのルールも決めました。勉強をする場である以上、楽しさの中にもけじめを持たせることも大切です。どうしても制約や制限事項を盛り込まなくてはならないので、その表現には気を遣いました。
 
 塾によってはあえて厳しい表現をしているところもあるでしょうが、”規則”とするよりも”ルール”としたほうが、「締め付けでなく、納得した約束事を互いに守る」というようなニュアンスがあり、「けい友館ルール」というものになりました。

 また、そのルールも「〜禁止」「〜してはいけない」という形よりもなるべく「〜しよう」という表現にしています。これも頭から押さえつけるのでなく、なぜ、そうなのか、自らも考え、他人の迷惑を考えられるようになってもらいたいからです。

 けい友館も今年で10年目となりましたが、けい友館ルールをつくった当時は「携帯電話」がこれほど中・高生へ普及するとは思いもしませんでした。当然のことながら授業中は電源を切るなどの携帯電話のマナーについて追加したものもあります。

 さて、そのルールの1番目に「あいさつをしよう」というのがあります。社会に出て挨拶もできないような大人はまずいないでしょう。どんな世界でも挨拶がしっかりとできる人間は好感を持たれます。 しかし、現実には挨拶のできない子どもが多くいます。なぜできないんでしょう。「俺は客だ!」なんて思い上がっている場合は除いて多くの場合、マニュアル化された挨拶に麻痺しているのか、恥ずかしいのではないでしょうか。

 挨拶は相手の顔を見てするものだと思います。そのときに元気がなかったり顔色が悪いと、声をかけたり様子を注意深くうかがったりなどできます。そういった面で、コンビニエンスストアの(特に深夜)あの下を向いたままの接客や、全国的にも有名な古本屋の、元気はいいが(むしろうるさい)客を見て言わない挨拶はいかがなものかと思います。

 実際、私は(多くの人もそうだと思いますが)コンビニエンスストアやファミリーレストランで「いらっしゃいませ。こんにちは」と言われて「はい、こんにちは」と返事をしません。ましてやさきほどの古本屋さんのような「いらっしゃいませ!!こんにちは〜!!」という叫びにも似たあいさつに「はい〜!!こんにちは〜!!!」と叫んで返すはずもありません。(しかしながら、こういったお店でアルバイトをしている人は、自分が別のお店に買い物に行ったときもつい癖で自分も大声を張り上げてしまいそうになることもあるそうです)
 
 しかし自分の方をしっかりと見て言っていた場合、特に相手が自分の知っている人ならばどうでしょう。当然返事をしますよね。つまり大人は相手がマニュアル的に言っているのか、そうでなく、知っている人として挨拶をしているのかを感じ、使い分けられるのです。

 けい友館に通う子供たちはどうでしょう。ほとんどの生徒は使い分けられるでしょうが、何分にも子供ですのでその線引きが甘いかもしれません。ですから「言われて当然、返事なんかしないもんね〜」と思ってしまう生徒がいても不思議ではないのです。そういった生徒には、間違えた考え方なんだということを諭しています。

 また、挨拶を恥ずかしいと感じる場合についてですが、普段、家庭の中で「おはよう」とか「おやすみ」とか声を掛け合っていれば自然に外でも言うようになるでしょうが、逆に普段言わない、特に反抗期を迎えた男の子はとかく無口です。(特に親に対し)普段言う習慣がないと、なかなか塾に来たときだけ・・・なんていかなくなりますものね。

 きちんと相手を見てしっかりと「こんにちは」と言えれば理想的ですが、我々もそこまでは求めません。「うぃーす」でも「ちわー」でもまず声を掛け合うことが大切と考えています。ちょっとしたことですが、小さなコミュニケーションから大切にしたいと思っています。

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