第二十五回

「面接練習」

高校受験では、ここ数年で私立高校だけでなく、神奈川県では公立高校の前期選抜入試など、面接試験を受ける機会が一層多くなりました。そんな中、けい友館では中学3年生の受験生に対し「面接練習」という指導も行っています。
受験を控えた生徒達も面接練習の必要を強く感じているようであり、面接における注意点のレクチャーをすると、かなり真剣に聞いてくれます。
けい友館の教室を使って12月後半から1月にかけて練習を行っている様子は、毎年の季節の風物詩(?)のようになっています。

「面接練習」とはいっても、「○○と聞かれたら△△」と答えなさい。などのようなマニュアル指導は行っていません。
むしろ、そうならないように注意しています。
練習を行う一番の目的は、”当日に緊張しない”ようにするためです。雰囲気に少しでも慣れることによって、自分の希望や考え、中学3年間で行ってきたことなどをしっかりと伝えるために気持ちをまとめる練習を行うのです。
とはいえ、いくら練習をしたって、当日、緊張はするものですが、それでも練習をしておくかどうかでは大きな違いがあります。

また、練習を行うもう一つの目的は、面接してくださる高校の先生方に対して、失礼な態度とならないようにするためです。
面接してくださる相手も人間。ちょっとした動作やしぐさで不快な気分にもなれば、好印象を持ってもらえることもあるはずです。
合否にさしたる影響が無くても、できる限り気を使うべきこととして伝えています。

まず、事前に生徒全員に向けて面接に対するレクチャーをします。生徒からも色々質問を受け、頭では理解できたら、いよいよ実際に練習を行います。何日にも分けてスケジュールを組み、1人に対して大体10〜15分かけて練習を行います。

練習は、ドアをノックして入るところから始めます。「胸を張る!」(←緊張すると猫背になる生徒が多いのです)ことと「笑顔!」(←これも緊張すると顔がこわばるので、努めて笑顔でいるように)「元気よく!」(←第一印象が大切)をポイントとして、面接の雰囲気に慣れさせるようにしています。
そのため練習中、こちらは一切、笑顔を見せません。また雰囲気を和らげることもしません。冷静に淡々と質問を続けます。
たとえ、何があっても本番同様、面接を終えて退出するところまでそのまま通して行います。

退出したところで練習は終わりです。「はい練習は終わり。座ってください」と生徒を着席させ、最初から最後までを1つ1つ振り返り、良かったところ、直さなくてはならないところなどを説明(もちろん、練習は終わっているのですから、このときには笑顔で優しく説明していますよ。)してあげます。
しかし、練習のためとはいえ、冷徹になっている私に怖さを感じる生徒も多いようです。練習を終えて説明(くどいですが、優しく・・・)していると、緊張が解けたのか、ポロポロと涙がこぼれてしまう生徒も毎年何人かいます。
そこから”面接練習ではとても怖い先生”伝説が生まれてしまいました。反面、「本番は全然緊張しなかった」「練習の方がよっぽど緊張した」という声がたくさんあり、「練習はこれからもあれくらいの雰囲気でやったほうがいいよ」と、いう声もありました。

また、練習で必ず最初に質問するのが、「本校への志望理由を述べてください」です。これは当日に必ずといっていいほど聞かれる内容です。しかし、この質問に対し、セリフのように事前に用意した答えを暗唱している生徒が多くいます。
暗唱が悪いわけではないのですが、それでは試験当日、結婚披露宴などのスピーチで緊張してセリフを忘れ、「頭の中が真っ白、何を話すか全く覚えていない!」という状態と同じ状態になってしまいかねません。
それを気付かせるためにあえて「具体的にどんなところがですか?」など、生徒が答えた内容に対して深く問い掛けます。すると、予想していなかった質問にとまどい、しどろもどろになったり、言葉が見つからなくて沈黙が続いたりしてしまいます。

自分の考えや希望をあらかじめまとめておくことは必要なのですが、伝えるポイントだけ決めておき、その場で話す練習をするよう、アドバイスをしています。100%完璧な言葉遣いで話そうなんて思っては、プレッシャーになるだけです。大人にだってなかなかできません。
「自分の考えの80%も伝えられれば十分。それで評価されなければ仕方ないよ。何より面接試験は自分の良さをアピールする場であって、面接官が君の上げ足を取るためのものではないのだよ。」と伝えるとだいぶ気持ちが楽になってくれるようです。

そんな練習を繰り返し、本番に臨んでもらいました。公立高校の前期選抜試験は、面接評価だけで決まるものではなく、内申点(教科の成績)や事前に提出する「自己PR書」の方が大きな判定材料です。
ですが、たとえ1人でも面接評価がよかったおかげで合格できていればこれほど嬉しいことはありません。
また、大学への推薦入試や就職面接など、将来の面接時に少しでも役に立ってもらえることを願っています。

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